防毒マスクを使用可能な環境条件について

アスベスト粉じん及び飛散抑制剤、接着剤等による有機ガスが混在して発生する場合
防じん防毒併用呼吸用保護具の着用が必要になります。

防毒マスクの使用可能な環境条件

防毒マスクが使用可能な条件は、下記の(1)(2)(3)のすべてに適合した場合のみです。

(1) 環境中の酸素濃度が18%以上あること
防毒マスクは、環境空気中の有毒ガスのみを吸収缶でろ過または無毒化させ呼吸するものです。環境中の空気自体が酸素欠乏空気であっては、その酸素欠乏空気をそのまま呼吸してしまい、酸素欠乏症を起こしてしまいます。
(2) 常温、常湿及び常圧の環境であること
防毒マスクの除毒能力に影響を与えます。
(3) 環境中の有毒ガスの平均濃度が(表1)の濃度を超えないこと
    (但し、1日の使用時間が30分未満の場合は、(表2)の濃度を超えないこと
防毒マスクの種類は、厚生労働省の構造規格によりガス濃度に応じて隔離式、直結式、直結式小型に分けられていますが、顔と接顔部の間からの漏れや排気弁からの漏れなど、ごくわずかな漏れであっても毒性の高い有毒ガス等が高濃度で存在する場合は無視できません。このため、より高い安全性を考えて、それぞれのガスの毒性に応じた使用の範囲を定めたもので、ガスの毒性に基づいて定められている「曝露限界」を基準として、その10倍、100倍などの倍数以下で使用することとしたものです。(日本呼吸保護具工業会技術委員会による)

(表1)
防毒マスクが使用できる有毒ガス濃度の上限(1日の使用時間が30分以上の場合)

種類 全面形防毒マスク 半面形防毒マスク
隔離式 2.0%ただし曝露限界の100倍 2.0%ただし曝露限界の10倍
直結式 1.0%ただし曝露限界の100倍 1.0%ただし曝露限界の10倍
直結式小型 0.1%ただし曝露限界の100倍 0.1%ただし曝露限界の10倍

(表2)
防毒マスクが使用できる有毒ガス濃度の上限 (1日の使用時間が30分未満の場合)

種類 全面形防毒マスク 半面形防毒マスク
隔離式 2.0%ただし曝露限界の300倍 2.0%ただし曝露限界の30倍
直結式 1.0%ただし曝露限界の300倍 1.0%ただし曝露限界の30倍
直結式小型 0.1%ただし曝露限界の300倍 0.1%ただし曝露限界の30倍

<表の見方>

例えば、環境中の有毒ガスがトルエンとすると、トルエンの曝露限界は0.005%(50ppm)と定められているので、1日30分を超えての作業をする場合は(表1)より、半面形ならばその10倍の0.05%(500ppm)まで、全面形ならば100倍の0.5%(5000ppm)まで使用が可能です。

ここで言う曝露限界は、ほとんどすべての労働者が連日繰り返し曝露されても健康に有害な影響を受けないと信じられる有毒ガスの濃度の限界です。表に記す曝露限界には日本産業衛生学会の勧告する許容濃度値を適用します。ただし、許容濃度が定められていない有毒ガス等にあっては、ACGIH (American Conference of Governmental Industrial Hygienists) の勧告するTLV-TWA 値を適用します。

※ 日本呼吸用保護具工業会技術委員会による

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